積水ハウスのCMから見える戦略。そもそも住宅にCMは必要なのか?

大手ハウスメーカーともなると、テレビCMもよく見かけますよね。その中でも、積水ハウスのCMは、ほのぼのとして視聴者の評判も良いと聞きます。このCMは何を視聴者に言おうとしているのでしょうか?例えば、ビールや家電のCMは見ればその商品が欲しくなり、店頭でつい手に取ってしまします。しかし、家となると、つい買ってしまうという訳にはいきませんし…。

 

CMの内容は?

最初に登場するのは女子高生。ベースの音に惹かれて専門店に入ってしまうところからスタートします。店員に「弾いてみる?」と聞かれますが、「大丈夫です。」と慌てて断ります。しかし、店員さんが弾くベースに聞き入ってしまい、「一番安いのはどれですか」と聞き、いま店員さんが弾いていたものを1000円で買ってしまいます。帰り道、弟と会って、たった今買ったベースの話で盛り上がりながら自宅へ帰ります。その自宅こそ、積水ハウス!という内容です。いやーいいCMですね!と終わっては面白くありません。このCMは何を言いたいのでしょうか。勝手に推測してみたいと思います。

 

このCMは視聴者に何を伝えたいのか?

他の住宅メーカーのCMを思い出してみてください。そのほとんどは、構造体の強さをはじめ、建物の特徴を何らかの形で伝えています。これは分かりやすいですよね。強い家、省エネの家、耐火性能の家などセールスポイントを短い時間で分かってもらいたいのです。中には、価格的なやすさを強調しているハウスメーカーもありますね。

しかし、積水ハウスは全く違う路線のCMです。先に書いたストーリーは家の特徴とは全く関係がありません。つまりCMで家そのものの特徴などを伝える気は全くないのです。ここで伝えているのは、ずばり積水ハウスが伝えたいのは目指すイメージなのです。

どんなイメージか?

CMで登場するのは、姉と弟です。(楽器屋の店員さんは置いておきましょう)親も登場しません。二人は仲良く家に帰ります。当たり前のように、自然に帰るのです。この兄弟を育んだ環境の中心に、積水ハウスの家があったのです。好奇心旺盛な姉とそれを慕う弟が当然のように帰る場所では、明るく、暖かい家庭が想像できます。家を建てた親を敢えて登場させないのも視聴者の想像に任せるためですね。

 

なぜ家の特徴を伝えないのか?

耐震性能、耐火性能、その他構造体など他のハウスメーカーに比べて、積水ハウスが劣っていると思う人はどれだけいるでしょうか。プロであれば、細かい点でどのハウスメーカーのどの部分が優れていて、劣っていてと分かるかもしれませんが、一般の方は分かりません。積水ハウスはこれまで築いてきた、実績により、わざわざ、特徴を強調する必要がないのです。かつ、CMという短い時間では細かい特徴までは伝え切れるはずがありません。伝えようとすれば専門的な難しい話になりますしね。中途半端に良い特徴を強調したところで、視聴者は良いということは分かっているので、誰でも知っていることを、重ねてわざわざCMで言う必要はないのです。ですので、徹底的に、視聴者の感情を揺さぶるような、イメージ戦略を取ったCMを展開しているのです。家を検討するとき、あのCMのような暖かい家庭をイメ-ジして、積水ハウスという選択肢は当然に入ってくるというシナリオです。(というのは私の勝手な意見です。)

 

住宅にCMは必要なのか?

あるに越したことは無いでしょう。しかし、当然、CMには膨大なコストが掛かります。有名なタレントさんを使えばなおさらです。コストをカットして、販売価格を落とす戦略をとっている代表が、建売住宅です。企業名やブランドの価値と広く宣伝して、間口を広げる大手ハウスメーカーと違って、徹底的にコストカットして現場での販売に特化する戦略ですね。

建売は安いから心配だとよく言われますが、このあたりにも、コストを抑え販売価格を抑える秘訣があるのかもしれません。コストに関してはこちらも参考にしてください。

 

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